自己分析で「何を知りたい?」目的から選ぶツール選び方【無料・安価中心】
自己分析ツール、多すぎて何から始めるか分からないあなたへ
「今の仕事、このままで良いのかな?」「自分にはどんな仕事が向いているんだろう?」
入社して数年が経ち、そういった漠然とした不安を感じたり、キャリアについて考え始めたりする中で、「自己分析」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。そして、いざ自己分析を始めようとインターネットで調べてみると、MBTIやストレングスファインダー、エニアグラムなど、数え切れないほどの自己分析ツールが見つかり、結局どれを使えば良いのか分からなくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
特に、「いきなり有料ツールに課金するのはちょっと…」と感じたり、「手軽にサクッと試せるものが良いな」と思ったりする方もいるかもしれません。
このサイトは、そんなあなたが自分にぴったりの自己分析ツールを見つけるお手伝いをすることを目的としています。この記事では、自己分析ツールを「知りたいこと(目的)」別に分類し、それぞれの目的に合ったツールの選び方と、手軽に始められる無料または安価なツールを中心にご紹介します。
自己分析の第一歩として、まずは「自分が何を知りたいのか」という視点から、ツール選びを始めてみましょう。
自己分析で「何を知りたい?」目的別ツールの分類
自己分析ツールは、アプローチや得られる結果によって様々な種類があります。大きく分けると、以下の目的ごとに分類できます。
- 自分の「強み」や「得意なこと」を知りたい
- 自分の「価値観」や「興味・関心」を明確にしたい
- 自分の「性格」や「行動パターン」を理解したい
- 頭の中を整理して、考えを具体的にしたい
自分が自己分析を通して「何を知りたいのか」を考えることで、数あるツールの中から候補を絞り込むことができます。それぞれの目的について、詳しく見ていきましょう。
目的1:自分の「強み」や「得意なこと」を知りたい
「自分には人に誇れるような強みなんてない」と感じている方もいるかもしれませんが、誰にでも必ず得意なことや自然とできてしまうことがあります。それに気づくことが、仕事やキャリアの方向性を考える上で重要なヒントになります。
この目的におすすめのツールタイプ
- 強み診断ツール: 特定の質問に答えることで、あなたの持つ強みや資質を言語化してくれるツールです。
- 経験の棚卸し: これまでの経験を振り返り、成功体験や困難を乗り越えた経験から、自然と発揮していた能力や行動パターンを見つけ出します。これはツールというよりは「手法」ですが、自己分析において非常に有効です。
無料・安価な代表的ツール・手法
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グッドポイント診断(リクナビNEXT)
- 特徴: 株式会社リクルートが提供する無料の自己分析ツールです。約30分程度の質問に答えることで、18種類の中からあなたの強みを5つ診断してくれます。診断結果は具体的な言葉で表現され、ビジネスシーンでの活かし方についても示唆が得られます。
- 何が分かる?: あなたの潜在的な強みや持ち味。例えば「決断力」「親密性」「適応力」など、具体的な強みのキーワードとその解説が得られます。
- どんな人におすすめ?: 「自分にどんな強みがあるか全く分からない」「手軽に強みを言語化したい」という方におすすめです。無料で診断できるため、自己分析の最初の一歩として試しやすいでしょう。
- 試す際のハードル: 無料、オンラインで完結、所要時間約30分。リクナビNEXTへの会員登録が必要です。
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ストレングスファインダー(有料)
- 特徴: ギャラップ社が提供する有料の強み診断ツールです。Webテストに回答することで、34の資質の中からあなたの持つ上位の資質(Top 5など)が分かります。より詳細な分析ですが、無料ではありません。書籍付録のアクセスコードを利用するか、公式サイトで購入する必要があります。
- 何が分かる?: あなたの才能(無意識のうちに繰り返し現れる思考、感情、行動のパターン)を34の資質として診断します。
- どんな人におすすめ?: 「より深く自分の強みについて知りたい」「有料でも信頼性の高い診断を受けたい」という方におすすめです。まずはグッドポイント診断など無料ツールを試してから検討するのも良いでしょう。
- 試す際のハードル: 有料(書籍付録または公式サイトで購入)、オンラインで完結、所要時間約30〜45分。
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モチベーショングラフ(手法)
- 特徴: これまでの人生やキャリアを振り返り、モチベーションの浮き沈みをグラフ化する手法です。モチベーションが上がった・下がった出来事を書き出し、その要因を分析することで、自分が何に喜びややりがいを感じるのか、何にストレスを感じるのかが見えてきます。
- 何が分かる?: あなたのモチベーションの源泉、価値観、得意なことや苦手なことの手がかり。特定の状況でどのように感じ、行動するかのパターンが見えてきます。
- どんな人におすすめ?: 「特定のツールを使うより、じっくり自分の過去を振り返りたい」「具体的なエピソードから自分の強みや価値観を見つけたい」という方におすすめです。紙とペンがあればすぐに始められます。
- 試す際のハードル: 無料、時間と内省のための集中できる環境が必要です。所要時間は人によりますが、数時間かけることもあります。
目的2:自分の「価値観」や「興味・関心」を明確にしたい
仕事を選ぶ上で、給与や待遇だけでなく、「何を大切にしたいか」「どんなことに興味があるか」といった価値観や興味・関心が非常に重要になります。これらを明確にすることで、より自分にとって納得感のある選択ができるようになります。
この目的におすすめのツールタイプ
- 価値観リスト: 仕事や人生において自分が何を重要視するかを表すキーワード(例:「安定」「成長」「貢献」「人間関係」など)のリストを見て、自分に当てはまるものや優先順位の高いものを選ぶ手法です。
- 興味診断: 特定の職業や活動に対する興味の度合いを測るツールです。
- WILL-CAN-MUSTフレームワーク: 「やりたいこと(WILL)」「できること(CAN)」「すべきこと(MUST)」の3つの円を書き出し、それぞれの重なりや要素を整理するフレームワークです。WILLの部分が価値観や興味・関心に強く関連します。
無料・安価な代表的ツール・手法
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キャリア価値観リスト(手法)
- 特徴: インターネット上や書籍などで公開されているキャリア価値観リスト(例:「自由」「創造性」「社会貢献」「専門性」「ワークライフバランス」など)を参考に、自分が特に大切にしたいものをいくつか選び出す手法です。選んだ価値観について、なぜそれが大切なのか、具体的にどのような状態を指すのかを深掘りします。
- 何が分かる?: あなたが仕事や働く環境に何を求めているのか、判断や行動の基準となる価値観。
- どんな人におすすめ?: 「自分の価値観を言葉にしたいが、漠然としすぎている」「様々な価値観の例を見ながら考えたい」という方におすすめです。費用はかからず、手軽に始められます。
- 試す際のハードル: 無料、リストを探す手間はありますが、紙とペンまたはPCがあればすぐに実施できます。
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GATB(一般職業適性検査、有料の場合あり)
- 特徴: 厚生労働省が開発した職業適性検査で、知的能力や言語能力、事務能力などの適性や、興味の方向(例:事務、対人、芸術など)を測定します。ハローワークなどで無料で受けられる場合や、大学・企業で実施されることがあります。個人で受ける場合は有料になることが多いです。
- 何が分かる?: 職業に関するあなたの適性(能力面、興味面)。どのような職業分野に関心を持ちやすいかの傾向が分かります。
- どんな人におすすめ?: 「自分の興味がどのような職業分野に向いているのか客観的に知りたい」という方におすすめです。無料で受けられる機会があれば試してみると良いでしょう。
- 試す際のハードル: 費用は実施機関による(無料の場合あり)、まとまった時間(数時間)がかかります。
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WILL-CAN-MUSTフレームワーク(手法)
- 特徴: 自分の「やりたいこと(WILL)」「できること(CAN)」「すべきこと(MUST)」をそれぞれ書き出し、思考を整理するフレームワークです。特に「やりたいこと(WILL)」を考える際に、自分の興味や価値観を深掘りします。
- 何が分かる?: 自分の内的な欲求(WILL)、現在持っているスキルや経験(CAN)、周囲から期待されていることや社会的な要請(MUST)のバランス。WILLを深掘りすることで、真に興味のあることや大切にしたいことが見えてきます。
- どんな人におすすめ?: 「やりたいこと、できること、やるべきことの間で悩んでいる」「自分の現在の状況と思考を整理したい」という方におすすめです。紙に3つの円を書いて書き出すだけで始められます。
- 試す際のハードル: 無料、紙とペンがあればOK。内省に時間がかかる場合があります。
目的3:自分の「性格」や「行動パターン」を理解したい
自分がどのような状況でどのように反応しやすいか、どのようなコミュニケーションの傾向があるかなど、自身の基本的な性格や行動パターンを理解することは、職場での人間関係や仕事の進め方を考える上で役立ちます。
この目的におすすめのツールタイプ
- 性格診断テスト: 質問への回答から、あなたの性格特性や行動傾向を類型化するツールです。MBTIやエニアグラム、Big5などが有名です。
無料・安価な代表的ツール
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VIA-IS(強み診断)
- 特徴: ポジティブ心理学に基づいた無料の診断ツールです。人間の持つ24の「性格的な強み」(勇気、正義、人間性、節制、超越、知恵・知識の6つの美徳に分類される)のうち、自分がどのような強みを上位に持っているかを診断します。
- 何が分かる?: ポジティブな側面からのあなたの性格的な強み。例えば「感謝」「希望」「好奇心」「正直さ」などが上位に来るかもしれません。これらの強みを日々の生活や仕事でどう活かせるかのヒントが得られます。
- どんな人におすすめ?: 「自分のポジティブな側面に焦点を当てて自己理解を深めたい」「無料の性格診断を試したい」という方におすすめです。診断結果は前向きな気持ちになりやすいでしょう。
- 試す際のハードル: 無料、オンラインで完結、所要時間約15~20分。日本語で受けられます。
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特定の性格診断テスト(無料版・簡易版)
- 特徴: MBTIやエニアグラム、Big5などの有名な性格診断には、公式なものではありませんが、インターネット上に無料の簡易版テストが存在することがあります。これらはあくまで参考として利用できます。
- 何が分かる?: 簡易的な性格タイプや特性。例えば「内向型・外向型」「思考型・感情型」といった基本的な傾向などが示されることがあります。
- どんな人におすすめ?: 「まずは有名どころの診断がどんなものか雰囲気を掴みたい」「深く分析する前に、手軽に自分の傾向を知りたい」という方におすすめです。ただし、公式診断とは異なるため、結果はあくまで参考程度に留めるのが賢明です。
- 試す際のハードル: 無料、オンラインで手軽に受けられます。信頼性は公式診断より劣ります。
目的4:頭の中を整理して、考えを具体的にしたい
自己分析を進めていると、様々な考えや感情が頭の中に浮かんできて、かえって混乱してしまうことがあります。そのような時に役立つのが、思考を「見える化」して整理するツールや手法です。
この目的におすすめのツールタイプ
- マインドマップ: 頭の中にある思考やアイデアを、中心となるテーマから放射状に関連付けながら図にしていく思考整理ツール・手法です。
- ジャーナリング(書く瞑想): 特定のテーマや内面について、頭に浮かんだことをひたすら書き出す手法です。
- ロジックツリー: 問題や目標を、原因や解決策、具体的な行動などに分解してツリー状に整理する手法です。
無料・安価な代表的ツール・手法
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マインドマップツール(無料版ツール含む)
- 特徴: 紙に書く方法もあれば、MindMeisterやXMindなどの無料版やトライアルがあるオンラインツールもあります。中心にテーマを書き、そこから連想されるキーワードやアイデアを枝状に広げていきます。
- 何が分かる?: 自分の思考の構造、アイデア同士の関連性、隠れた考えや気づき。自己分析のテーマ(例:「私のキャリアの可能性」「得意なこと」)を中心に据えて作成すると、考えが整理され、新たな視点が見つかることがあります。
- どんな人におすすめ?: 「頭の中がごちゃごちゃしている」「思考を発展させたい」「アイデア出しをしたい」という方におすすめです。視覚的に分かりやすく整理できるのが利点です。
- 試す際のハードル: 無料(紙とペン)、無料版オンラインツールも多数あります。慣れるまで少し練習が必要かもしれません。
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ジャーナリング(手法)
- 特徴: ノートやPCに、特定のテーマ(例:「仕事でモヤモヤすること」「自分の理想の働き方」)について、時間を決めて思いつくままに書き出し続けます。誤字脱字や文章構成は気にせず、内面を言葉にするプロセスに集中します。
- 何が分かる?: 自分の本音、隠れた感情、無意識のうちに考えていること。書き出すことで思考が整理され、課題や望みが明確になることがあります。
- どんな人におすすめ?: 「自分の感情や考えを深く掘り下げたい」「内省を通じて自己理解を進めたい」「書くのが好き」という方におすすめです。特別なツールは不要です。
- 試す際のハードル: 無料、紙とペンまたはPCがあればOK。ある程度まとまった時間を取り、集中できる環境が必要です。
自分に合った自己分析ツールを見つけるためのヒント
ここまで目的別にいくつかのツールや手法をご紹介しましたが、いかがでしたか?
ツールを選ぶ際は、以下の点を考慮するとよりスムーズに進められます。
- まずは「何を知りたいか」を明確にする: 漠然と始めるのではなく、「自分の強みを知りたい」「キャリアの方向性を考えたい」など、大まかな目的を持つことが最初のステップです。
- 無料・安価なものから試してみる: 最初から高額な有料ツールに手を出す必要はありません。無料の診断や手軽な手法から試して、自己分析そのものに慣れることから始めましょう。
- 複数のツールや手法を組み合わせてみる: 一つのツールだけで自己分析が完結するわけではありません。例えば、強み診断で自分の資質を知り、ジャーナリングでその資質が活かせそうな場面や、活かせなかった経験について深掘りするといったように、異なるアプローチを組み合わせることで、より多角的に自分を理解できます。
- 完璧を目指さない: 自己分析に終わりはありません。一度に全てを明らかにしようとせず、現時点で知りたいことに焦点を当てて、気になったツールや手法を一つずつ試していくくらいの気持ちで取り組みましょう。
まとめ:最初の一歩を踏み出そう
自己分析ツールは数多く存在しますが、自分の「知りたいこと」という目的に合わせて絞り込むことで、ツール選びのハードルはぐっと下がります。
まずはこの記事でご紹介した、無料または安価で手軽に試せるツールや手法の中から、あなたの目的に合いそうなものを一つ選んで、ぜひ試してみてください。
自己分析は、自分自身を深く理解し、納得のいくキャリアを築いていくための大切なプロセスです。最初の一歩を踏み出すことが、未来のあなたにとってきっと大きな力になるはずです。応援しています。